2017/06/14 国土交通省 「第6回 建設産業政策会議」を開催。会議のとりまとめ(素案)を提示。

6月13日、国土交通省は「第6回 建設産業政策会議」を開催した。

「建設産業政策会議」は、昨年10月に立ち上げられ、劇的な進展を遂げるAI、IoTなどのイノベーション、労働力人口の減少といった事態を正面から受け止め、10年後においても建設産業が「生産性」を高めながら「現場力」を維持できるよう、法制度はじめ建設業関連制度全体の基本的な枠組みについて検討を行っている。
「法制度・許可ワーキンググループ」、「企業評価ワーキンググループ」、「地域建設業ワーキンググループ」の3つのWGにより議論が進められ、今回はこれまでの会議のとりまとめとなり、素案が提示された。

冒頭、根本幸典 国土交通大臣政務官より、「建設産業政策会議では10年後の建設業のあり方を見据えて議論をしてきた。今回はそのとりまとめとなる。」と挨拶があり、とりまとめに尽力された委員の方にこれまでの苦労に対するねぎらいの言葉が贈られた。

根本幸典 国土交通大臣政務官

今後、建設産業が使命を果たしていく上で最大の課題は全産業的に生産年齢人口の減少が進む中での担い手確保であり、まず取り組むべき課題は「働き方改革」であることが示された。
業界をあげた処遇の改善や民間も含めた発注者と連携して適切な工期設定等に取り組んでいく必要がある。
併せて、国民の多様なニーズにも対応して産業全体が進化していくために「生産性向上」を進める必要があることが示された。

<今後の建設産業の目指すべき姿>
今後の建設産業が目指すべき姿としてそれぞれの立場による提示がされた。(資料より抜粋)

1)建設業全体で目指すべき姿
・担い手不足が懸念される中で、高い生産性の下で適正な施工が確保されること。
・今日的な労働観に沿って、長時間労働の是正や処遇の改善など働き方改革が進められることにより若年層の入職が進み、将来においても必要な施工能力が確保されること。
・発注者と受注者の適切な役割分担により、適正な施工が確保されること。
・建設生産物の利用者や消費者が質の高いサービスを受けられること。
・発注を行う体制が十分でない発注者であっても安心して発注できること。

2)全国大手総合建設業の目指すべき姿
・国家的プロジェクトを主体的に担っていくため、常に施工技術の向上に努めること。
・働き方改革について、自社による取り組みはもちろん、下請会社等を含めて建設業界全体の働き方をリードすること。
・AI、IoTなどのイノベーションの進展を踏まえ、IT企業など異分野との連携・融合などにも取り組みつつ、より一層の生産性向上を図ること。

3)地域中堅・中小建設業として目指すべき姿
・地域インフラの安定的な整備・維持管理を行う「地域の守り手」となること。
・地域の安全・安心を確保するため、公的な任務の担い手となること。

4)専門工事業者として目指すべき姿
・技能労働者の大半を専門工事業者が雇用していることを踏まえ、技能労働者の働き方改革の取り組みを積極的に推進するとともに、技能労働者間の技術・技能の伝承や新たなニーズに対応した技能の習得の促進を着実に進めていくこと。
・専門工事業者が適切に評価される環境の整備と相まって、元請企業との取引力を高め、施工技術や生産性の向上に努めること。
・災害時には応急復旧の担い手としての役割を果たすこと。

5)発注者として目指すべき姿
・適正な設計図書や施工条件の明示、適切な工期設定等に努めること。
・発注体制を補完する制度を活用する。

6)設計者として目指すべき姿
・建設生産物の品質や生産プロセスにおける生産性に影響を及ぼすことを意識し、受発注者と適切に連携・意思疎通を図り、円滑な施工に寄与すること。

7)建設業団体として目指すべき姿
・働き方改革や生産性向上等の取り組みを会員企業に促すとともに、建設産業のプレゼンスの向上に資する取り組みを先導して行うこと。

<今後の建設産業政策について>
建設業の目指すべき姿として、
・働き方改革と生産性向上等の取り組みを強力に推進し、国民の安全・安心や経済成長に持続的に貢献する。
・良質な建設サービスを高い水準で確保し、個々の発注者や消費者の利益を実現し、信頼を確保する。
が提示され、今後の建設産業政策の具体的な施策として以下の点が示された。


(国土交通省 第6回建設産業政策会議資料より)

①業界全体、発注者・設計者等との連携による働き方改革
建設業の魅力を高め、若年層や女性の入職を促進し、担い手を確保していくため、長時間労働の是正や週休2日の推進など建設業の「働き方改革」を強力に推進。


(国土交通省 第6回建設産業政策会議資料より)

②業界全体、発注者・設計者等との連携による生産性向上
国民の多様なニーズにも対応して建設産業が進化していくため、建設生産システム全体から個社・個人の取り組みに至るまで、あらゆるフェーズにおける生産性向上の取り組みを推進。


(国土交通省 第6回建設産業政策会議資料より)

③多様な主体との連携による良質な建設サービスの提供
建設工事の適正な施工の確保や発注者の保護を高い水準で実現し、国民や発注者の利益を1つ1つ実現。


(国土交通省 第6回建設産業政策会議資料より)

④地域力の強化
地域の守り手であると同時に地方創生の担い手でもある地域建設業の持続性を確保していくため、市町村など地域が一丸となって取り組みを推進。


(国土交通省 第6回建設産業政策会議資料より)

建設産業政策会議は6月中に最終の会議が開催される予定。

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