国交省は7月1日に公布・施行された「中小企業等経営強化法」の基本方針に基づき、建設分野に係る経営力
向上に関する指針を発表した。
指針に定められる「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業は、以下の支援を受けられる。
・計画に基づき新規取得した一定の機械・装置について、3年間、固定資産税を1/2に軽減。
・商工中金による低利融資、中小企業信用保険法の特例などの金融支援等。
国交省の指針は主に、「建設分野における経営指標及び経営目標」「経営力向上の内容及び実施方法に関する
事項」で構成される。
各項目の概要は以下の通り。
(1)建設分野における経営指標及び経営目標
【経営指標】
目標として設定すべき経営指標は、「労働生産性」に加え技能労働者の処遇改善や業界全体で付加価値を
向上させるとの観点から、完成工事原価のうち「労務費」「外注費」を付加価値要素として捉えた指標も
提示され、「いずれかの指標を用いることができる」とされる。
労働生産性 ※以下のいずれかの指標で判断
基本 : 【営業利益+人件費+減価償却費】÷【労働投入量】
※労働投入量=「労働者数」または「労働者数×1人あたりの年間就業時間」
推奨 : 【完成工事総利益+完成工事原価のうち労務費+完成工事原価のうち外注費】÷【年間延人工数】
簡易 : 【完成工事総利益+完成工事原価のうち労務費】÷【直庸技能労働者数】
【経営目標】
事業者が経営指標を用いて経営力向上計画に定める目標は、計画期間に応じて以下の通りとされる。
3年計画の場合 +1%以上
4年計画の場合 +1.5%以上
5年計画の場合 +2%以上
(2)経営力向上の内容及び実施方法に関する事項
自社の現状を分析後の「経営力向上計画」の策定にあたり、必要な実施事項が例示された。
実施事項は「自社の強みを直接支える項目」と「持続的な成長に向けた長期的な取り組み」に分類される。
(下図参照)
具体的な取り組み内容として、将来に夢と希望をもてるキャリアパスの提示、建設キャリアアップシステムの
導入、自治体との防災協定の締結、BCP(事業継続計画)の策定等が挙げられている。
実施事項について、経営力向上計画において会社規模別(従業員数毎)に項目数が設定される。
「経営力向上計画」に係る認定申請書の提出先は、国交省各地方整備局・北海道開発局・内閣府沖縄総合
事務局の各窓口。
詳細は以下のページよりご確認ください。
国土交通省 建設業分野に係る経営力向上に関する指針の策定
~生産性向上と担い手の確保・育成による経営力向上~
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_000614.html
中小企業庁 中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定状況について
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160902kyoka.htm