国土交通省 「第1回 建設産業政策会議」が法曹会館(東京)にて開催された。
冒頭、末松信介国土交通副大臣より挨拶があった。
建設産業は高齢化、担い手不足、他産業と比較して賃金水準の低さが課題となっているが、今後10年先を見越すとICT技術の進展で施工のあり方が大きく変化する。また政府全体では生産性革命や働き方改革などの検討が進んでいく。
「建設産業政策会議」では10年後においても建設産業が「生産性」を高めながら「現場力」を維持できるように、法制度をはじめ建設業関連性の基本的な枠組みについて検討を行い、今後1,2か月に1回程度開催され、来年6月を目途に取りまとめる予定だ。
今回の第1回では、石原邦夫委員(東京海上日動火災保険株式会社相談役)を座長として、
建設業の現状と課題について報告があり各委員より意見が寄せられた。
今後の議論のポイント(案)として以下の内容が取り上げられた。
●人口減少や高齢化、AIやIoTなどのイノベーションの進展を受け、10年後の建設市場はどのようになっていくのか。
●確実に到来する労働力人口の減少を見据え、建設業の担い手確保にどのように取り組むべきか。
●他産業との比較も踏まえ、建設産業は生産性向上や働き方改革にどのように取り組むべきか。
●建設業に関連する制度の基本的枠組みをどのように評価し、どう再検討していくか。
・AI化、IoT化が進んだ場合の施工の現場を踏まえ、技術者の配置などの規制はいかにあるべきか。
・昭和世代とは労働観の違う若者の入職・定着を図るためには、労働環境・条件をどう整えるべきか。
・後継者難や規模縮小が懸念される地方建設企業が、今後も「地域の守り手」として活躍し続けるためには
どのような環境整備が有効か。
・消費者の安全・安心のニーズの高まりに対応して、工事の品質確保のためにどのような施策を講じるべきか。
・民間工事の分野で、生産性の向上、労働環境の改善、関係者の協力体制の構築などにどのように取り組むべきか。
・生産性の向上や働き方の改善に積極的に取り組む企業をどう評価すべきか。
・建設企業がCMなど請負工事の外にある仕事も含めて事業を行うようになる場合の契約制度や許可制度は
いかにあるべきか。
・今後技術職員の不足等が見込まれる中、いかにして効率的かつ持続的な発注制度を構築し、普及させていくか。
会議の中では経営事項審査(経審)の見直しについても課題の1つとして取り上げられ、各委員からも経審の評価について意見があげられた。
現状の経審の評価は規模で評価されており、規模が大きいと点数が高くなるようになる。
これは売上が右肩上がりの時代のものであり「生産性向上」や「働き方改革」に取り組む企業をどう評価するかと問題提起された。
各委員からは経審評価の見直しについて意見が出された。
・災害対応で機械・重機等が必要だが、Y点(経営状況分析評点)での評価(固定資産が少ないと高評価)から機械をリースとする会社が多い。
・キャリアアップ制度は個人の評価でなく企業の評価として取り入れられないか。
・雇用面について高い評価をしてもらえないか。
・Y点とW点(社会性等)を重視する。環境面の配慮等、W点の改正について議論したい。
・生産性向上の企業評価では営業利益と人件費の扱いか。
・生産性の指標は資本生産性か労働生産性か。ベンチマークの設定も含めて議論していく。
・現在のY点は倒産判別分析から作成したが、ゼネコンも個人業者も一緒にして検討した。
一緒にしてもいいか検討が求められる。
「建設キャリアアップシステム」では、技能者が適切な評価・処遇を受けられるために、技能者の資格等の情報や現場での就業履歴等を業界統一のルールで蓄積していく。 平成29年の運用開始を目標に準備されている。
「i-Construction」の推進により2025年までに生産性の2割向上を目指していく。
「建設産業政策会議」 次回は12月に予定されており、10年後の建設業について等、議論を深めていく。