2016/03/09 生産性向上効果2倍、1人当たり生産性5割向上を目指す/第3回 i-Construction委員会①
3月9日、国土交通省はi-Construction委員会の第3回会合を開いた。
会議の冒頭、徳山国土交通事務次官は、
「生産性が新たなキーワードになってきているが、石井国土交通大臣も生産性革命元年にしたいと
述べている。省内にも本部を設置した。高度成長期は実質9.6%の経済成長があったが、その頃は
有効な投資と生産性の向上があった。単に労働人口が減るから今は大変だではなく3つの対策を立てた。
1つは未来型の新技術、2つ目は渋滞ロスを改善するなどの社会のベースを変えていく、3つ目は産業別の
生産性向上をやっていこうと考えている。その中のトップとしてi-Constructionを考えており
4月にはスタートしたい。」と挨拶した。
徳山日出男 国土交通事務次官 |
委員長である小宮山宏 三菱総合研究所理事長は、
「あらゆる分野で革命が起きている。建設機械の運転を覚えるのに10分でベテラン並みは無理だが、
3日あれば(ベテラン並みに)できるというのは革命だ。全体を睨んだ情報化というのが前回の
おおかたの委員の意見だった。この委員会での課題として、イノベーションが起こるような
ルールを作るのが一番難しい点だ。」と挨拶した。
(委員長)小宮山宏 三菱総合研究所理事長 |
事務局より、以下のi-Construction委員会報告書骨子(案)が報告された。
建設現場においては、異なる土地で注文に基づき一品ごとの受注生産となる点や、
さまざまな地理条件で日々の変化に対処する必要がある現地屋外生産、さまざまな材料や
資機材、専門工事会社が作り出す労働集約型生産などの特性が生産性向上の制約とされていた。
その結果、製造業等で進められてきた「工場化」「ライン生産方式」「自動化・ロボット化」等に
取り組めないことが建設現場の宿命と諦めてきた。
<<クリックで拡大>> ※資料はhttp://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000028.htmlより引用 |
しかし、ICTの飛躍的な進化を背景に、建設現場にIoT(Internet of Things)を導入することで、
製造業の取り組みが建設業においても実現できる可能性が出てきた。具体的には、宿命を打ち破る
視点として以下の3つを示す。
・建設現場の工場化
・建設現場のサプライチェーンマネジメント
・建設現場の2つの「キセイ」の打破
これらの視点に基づき、生産性革命実現のためのトップランナーとして、次の3つの施策を
先行的に進める。
(1)ICT技術の全面的な活用
建設現場の調査・測量、設計から施工・検査及び維持管理・更新のあらゆるプロセスに、ICT技術を
採り入れることで生産性を大幅に向上。まずは土工からスタートし、今後、しゅんせつ工等他の
工種へも展開。
(2)規格の標準化
コンクリート構造物の部材の規格(サイズ、仕様)を標準化することにより、工場製作による
屋内作業化や定型部材の組み合わせ施工等により生産性を向上。
(3)施工時期の平準化
国庫債務負担行為等を適切に活用した計画的発注により施工時期を平準化し、人材・機材の有効活用
による生産性の向上や労働者の労働環境・処遇改善を図る。
<<クリックで拡大>> ※資料はhttp://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000028.htmlより引用 |
i-Constructionの導入により、生産性・安全性向上や工程管理の改善等が期待されるが、
今回の3つのトップランナー施策による生産性向上効果は、ICT技術の全面的な活用(土工)により
約2倍になる見込み。平準化の取り組みなどによる効果とあわせ、1人当たりの生産性約5割の
向上を目指す。その結果として建設業界の賃金水準等を向上させ、地方創生への貢献が見込まれる。