2014/9/26 現場代理人の監理技術者兼務の割合74%/実務経験期間見直しによる早期受験の推進/監理技術者資格証、修了証と統合される
国土交通省は9月19日(金)、「適切な施工確保のための技術者制度検討会」の
初会合を開催した。
検討会は「担い手の確保・育成」、「技術者と工事の品質確保」、「工法や
雇用関係の変化と技術者制度」といった課題に取り組むため、技術者制度の
意義を再確認し、技術者の具体的確保策によって技術者の効率的活用の推進、
優秀な技術者の確保、技術力の維持・向上を目指す。
技術者制度における課題として、技術者の職務内容や位置づけの不明確さ、
職務や資格についての制度運用上の問題、技術者育成の仕組みの未整備などによる
技術力の低下の恐れといった点がこれまで指摘されており、検討会はこれらの
課題に対応するため技術者の職務を明確化することを取り決め、「監理、
主任技術者が行うべき役割」を提言した。
今後は適正な施工の確保・将来の担い手確保・効率的な技術者の活用という
観点に基づき、技術者制度の各種要件の総点検が行われることとなる。
なお、監理技術者とは建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成・工程管理・
品質管理等、技術上の指導監督の職務を行う役割を担う者のことである。
工事現場の運営・取り締まりを行う現場代理人が監理技術者を兼務している割合が、
現状では74%となっている。
今回の検討会において、技術者の具体的確保策として以下の項目が審議された。
①技術検定試験に関して
現状では申請できる実務経験の期間は申込み日までとされていたが、今回
見直された結果、試験当日までをカウントできるようになった。
受験年度の実務経験見込み分も含めてカウントすることで、実務経験を有する者は
早期に受験が可能となる。
また実務経験の期間が現行では合格証交付時からであったところ、合格発表時から
カウントされるよう見直された。
例えば、現状では試験の合格証交付の3月中旬から申込み日である4月1日~15日までを
実務経験と計上するところ、見直し後は合格発表の2月5日から試験日である7月6日までを
実務経験として計上することとなる。
また虚偽申請への罰則が強化され、技術検定試験にて不正を行った場合、最長で
3年間受験禁止となることが取り決められた。
2015年度からの実施を見通して、今後取り組まれる。
(資料5 技術者の具体的確保策 2p)
②監理技術者資格証と監理技術者講習終了証に関して
元請業者が工事現場に専任で配置する監理技術者は監理技術者資格者証・
監理技術者講習修了証の交付を受けている者から選任される。(建設業法第26条第4項)
そのため現行では監理技術者は資格者証と講習修了証との二枚が必要となるが、
今回からは監理技術者資格者証一枚に統合するよう取り決められた。
監理技術者講習は5年ごとに更新が必要であり、その講習履歴は講習実施機関
あるいは資格者証発行機関によって資格者証の裏面に記録されることとなる。
建設業法施行規則の改正が行われた上で、実施される予定となっている。
(資料5 技術者の具体的確保策 5p)
今後の検討項目として、監理技術者・主任技術者の元請工事における下請合計金額や、
資格要件、元請の専任技術者の雇用期間、技術検定の受験資格などが挙げられ、制度が
現状に即しているか議論されることとなる。