2014/9/11 企業PRにつながるか――「優良企業」として国が認定/厚労省 第3回検討会を開催

厚生労働省は10日(水)、企業の安全衛生水準を国が客観的に評価し、
高い評価を得た企業を「優良企業」として認定・公表する制度の創設に向け、
「第3回安全衛生に関する優良企業を評価・公表する仕組みに関する検討会」を開催した。
制度のイメージとしては下図の通り。(検討会配布資料 参考資料2 ※厚労省HPより)


会合では、評価項目を中心に、認定取消の基準や標章(優良マーク)の取扱、
企業に対するインセンティブについて議論が行われた。


制度はすべての業種を対象とし、認定単位は企業単位とする。
評価項目は、企業の状況として満たしていることが必要な「必要項目」と、
企業の積極的な取組を推進する「加点項目」で構成。
企業は「必要項目」を全て満たした上で、「加点項目」については下記の2点が
求められる。
・「加点項目」の各6分野にてそれぞれ6割以上の得点があること
・「加点項目」合計点が8割以上であること
建設業は60点満点中、46点以上が必要となる。

「必要項目」に労災発生状況や安全衛生体制の状況などがあり、
「加点項目」にメンタルヘルス対策やリスクアセスメントの実施状況など。
なお、建設業の企業が建設業労働災害防止協会のCOHSMS認定を受けている場合、
関連項目の条件も満たしていると見なされる。

評価項目について、会合では「重大な」「多数の」「法令」などの曖昧な表現をなくし、
評価基準を明確にすべきであるといった意見が出された。
また、企業によっては義務化されている項目もあり、
「義務化されている企業とされていない企業とでは項目の意味合いが異なるのではないか」
という意見が上がり、こういった視点からの項目の見直しが行われることとなった。

評価項目及び「加点項目」の配点については下図の通り。
(検討会配布資料 資料2/P10)


優良企業の認定は3年間とし、企業は認定時に認定基準を満たすことを誓約する。
企業から自主的に認定書の返納があった場合、再認定の制約はないが、
返納がなく、厚労省で取消基準に該当することが確認された場合、取消後2年間は
再申請はできない。
認定取消について、法令に重大な違反があった場合などを除き、
企業の自己判断による取消申請が基本となるが、自己判断に任せられるのかという
懸念の声が上がった。
行政側は、認定の際に添付する誓約書に基づいて判断できるとしており、
次回会合にて誓約書を示すこととなった。



認定マークの取扱については、優良企業としてのPRに企業が広く使用することを認める。
ただし、認定取消後は速やかに使用を停止することが求められる。
会合では「取消後、企業側に整理のための期間をある程度設ける」などのルールを
作成すべきとの意見がある一方で、取消が行われた企業は速やかに外すのが義務であり、
企業側が管理すべきとの意見も出された。
行政としては、常識的な範囲である程度は企業側に配慮するとしている。
現在、認定マーク及び優良企業のキャッチフレーズが公募されている。
いずれも来月27日(金)必着。



制度は、企業が評価項目に沿って自己評価を行い、優良企業認定を厚労省に申請する。
「優良企業」として認定されると、厚労省のホームページにて公表される仕組みだ。
企業PRとして使用できるのはもちろん、公共工事の入札や調達などの面で優遇される。
入札では、厚労省発注工事の総合評価方式の項目で加点とされる他、
自治体や民間企業に対しても工事発注などの調達で優遇するよう厚労省が要請する。

認定制度を広く認知してもらうためにも、行政側からの積極的な制度の宣伝を
求める声が多く、優良企業認定制度には委員の間でも期待が寄せられている。
検討会は全4回で組まれており、来月24日(金)に制度全般のまとめを執り行う予定。